検査科

検査科

当院検査科には患者さんから採取した採血や尿などを検査する検体部門と細菌部門、心電図や超音波検査を行う生理検査部門があります。 職員は医師1名(病理と兼任)、臨床検査技師11名(男性6名、女性5名)、事務2名で構成されています。 地域拠点病院なので時間外に急患や重症患者さんを治療するため、夜間や休日でも24時間体制で検査できるよう当直体制を維持しています。 また、情報共有を行い常に最新の情報を習得し提供できるように定期的に検査科内で勉強会を開催しています。チーム医療への貢献として、検査科の外へ出かけてNST回診やICC/ICT委員会など各種委員会に積極的に参加しています。現在は新型コロナウイルスの危機に対応し、抗原検査を365日24時間体制で提供しています。2021年4月からはPCR検査機器を導入し、PCR検査結果を迅速に提供できるようになりました。 品質の高い、信頼できるデータを提供するために、各種認定資格の取得にも積極的に取り組んでいます。
認定技師は、現在下表のとおりです。

検査技師一覧

A:臨床検査技師,認定心電検査技師,認定超音波検査士(循環器領域,体表領域),特定化学物質及び四アルキル基鉛等作業主任者資格
B:臨床検査技師,細胞検査士(JSC,IAC),特定化学物質及び四アルキル基鉛等作業主任者資格
C:臨床検査技師,認定超音波検査士(循環器領域),劇・毒物取扱者資格,特定化学物質及び四アルキル基鉛等作業主任者資格
D:臨床検査技師,認定輸血検査技師,緊急臨床検査士
E:臨床検査技師,特定化学物質及び四アルキル基鉛等作業主任者資格
F:臨床検査技師,NST専門療法士
G:臨床検査技師,二級臨床検査士(血液学),認定心電検査技師
H:臨床検査技師,細胞検査士(JSC),劇・毒物取扱者資格,有機溶剤作業主任責任者資格
I:臨床検査技師,特定化学物質及び四アルキル基鉛等作業主任者資格
J:臨床検査技師
K:臨床検査技師

各部門紹介

  • 検体部門
  • 輸血班
  • 細菌部門
  • 生理検査部門

検体部門

血液や尿・便などの検体を検査する部門です。 検体が検査室に到着してから約30分(特殊検体除く)で結果を報告しています。 正確な検査を提供するため、日々の内部精度管理に加え日本医師会や長崎県医師会の外部精度管理調査に参加して、良好な精度の維持に努めています。 また、臨床に役立つ新しい検査について、コストや依頼頻度、治療への重要性を考慮しつつ、院内で検査できる項目を増やす活動を続けています。

生化学検査 TBA2000FR 2台(キャノンメディカル)

検査項目 TP,ALB,TTR,μTP,D-Bil,T-Bil,LDH(IFCC),AST,ALT,ALP(IFCC),LAP,γ-GT,CK,CK-MB,ChE,BUN,CRE,UA,T-cho,HDL,LDL,TG,s-Amy,p-Amy,CRP,Fe,UIBC,Na,K,Cl,Ca, IgG,IgA,IgM,RPR,RF, TP抗体,FDP,Dダイマー,血中薬物(テオフィリン,フェニトイン,カルバマゼピン,フェノバルビ タール,バルプロ酸),FDP,D-dimer

ヒトの体に含まれる酵素や電解質等を分析し、体の状態把握や病気の診断補助、及びモニタリングに役立てます。 機械トラブルがあった場合、検査の遅延、中断を防ぐために普段は生化学分析器2台体制で検査を実施しています。

免疫血清 LPG1200 2台

検査項目 CEA,CA19-9,AFP,PSA,CA15-3,NCC-ST-439,FT3,FT4,TSH,BNP,トロポニンI,フェリチン,HBs抗原・HBs抗体,HCV抗体,HIV抗原・抗体,SARS-CoV-2抗原定量

癌の指標となる腫瘍マーカーや甲状腺ホルモン、循環器疾患のマーカー、感染症項目などを化学発光酵素免疫測定法(CLEIA)で検査を行います。 生化学分析器と同様に免疫分析器2台体制での検査運用体制です。

血糖 ①HA8181 ②ADAMS Glucose GA1171

検査項目 HbA1c、HbF、GLU

糖尿病の診断に必要な血糖値及びHbA1c検査を行います。 ADAMS Glucose GA1171(写真右)は血糖の他に、尿糖も検査可能です。 HA8181(写真左)はHPLC法にて、HbA1c(NGSP)とHbFを算出します。

尿素呼気試験 UBit POCone

検査項目 13C炭酸ガス比率の変化量

ヘリコバクターピロリの感染症の有無や除菌療法後の検査で尿素呼気試験を行います。 ヘリコバクターピロリの検査は、尿素呼気試験以外に細菌検査で便中ピロリの抗原検査(イムノクロマト法)や外注検査にて抗体検査があり、状況に応じて必要な検査を行っています。

血液ガス分析器 ABL800

検査項目 血中のpO₂,pCO₂,pH,HCO₃⁻など

pH、pCO2、HCO3⁻は酸塩基平衡障害の診断とモニターに使用されます。 pO2は血流の酸素化、すなわち肺(肺胞)から血液への酸素運搬が適切であるかどうかの評価に用います。
血液ガス分析は急性・慢性の重症呼吸器疾患または他の病気に起因する呼吸不全患者の診断や評価において臨床的に有用な検査です。

尿定性検査機器 AX4060

検査項目 尿定性検査(色調,濃度,pH,比重,蛋白,糖,ウロビリノーゲン,ケトン体,ビリルビン,亜硝酸塩,白血球)

専用の尿試験紙を用いて採取した尿検体のスクリーニング検査を行います。 上記の定性検査項目の結果をもとに尿沈渣検査、尿細胞診検査、尿細菌培養検査を行います。
島原病院主催の健康フェスタでは、参加者に尿を採取していただき、尿定性検査を行っています。

アンモニア測定器  ポケットケムBA PA-4140
赤血球沈降速度検査機器  Electra lab
血液 XE5000, XT1800i

検査項目 全血算,網状赤血球,網状血小板,血算NaF(フッ化Na採血管での血算),血液像自動分類

全血球(CBC)により、RBC(赤血球数)、Hb(ヘモグロビン)、Plt(血小板)、Ht(ヘマトクリット)、MCV(平均赤血球面積)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)、WBC(白血球数)、白血球分画を測定し、血液疾患(白血病など)や様々な病気の診断・治療に役立てる検査です。

凝固  CA1500, CA500

検査項目 PT,APTT,Fbg,AT-Ⅲ

凝固検査は出血したときに、止血する機能がきちんと働くかどうかを調べる検査です。
ワーファリン(血液をさらさらにする薬)などの薬の効果を調べることもできます。

鏡顕による検査

検査項目 全末血PO染色,血液像目視分類,各種特殊染色(ギムザ染色,鉄染色,PO染色,エステラーゼ染色),NAPスコア

その他

検査項目 骨髄穿刺の補助:ベッドサイドによる骨髄塗抹標本の作製

改善への取り組み

時期 改善内容 理由・経緯
2017年12月 TTR【トランスサイレチン(プレアルブミン)】の導外注から院内検査へ変更 半減期の長いALBでは、最近の栄養状態がわからないため、栄養サポートチーム(NST)より、半減期の短いTTRの院内検査を依頼された。
2018年8月 用手法トロポニンTからトロポニンI へと変更し自動化測定 心筋梗塞により特異度・感度の高いトロポニンI試薬が発売し、循環器内科医より、導入の依頼があった。
2018年10月 HIV Ag/Abの外注から院内検査へ変更 迅速に検査を実施し、早期に治療を行うため、ICT委員会より、院内検査を依頼された。
2019年8月 用手法μTPから自動化測定の試薬へ変更 用手法μTPは、1時間程度の検査時間がかかり、検査技師が拘束されるため、生化学分析器による測定に変更した。
2019年10月 NCC-ST-439の外注から院内検査へ変更 臨床からの検査依頼が多く、院内検査へ変更することで、乳がんのマーカーであるCEA・CA-15と同時に結果報告できるため。
2020年12月 SARS-Cov-2抗原定量検査の院内測定開始 Covid-19のパンデミックに伴い,LAMP法検査に並行して、迅速に結果がわかる抗原定量検査を導入
2021年5月 LDH・ALPのJSCC試薬からIFCC試薬へ変更 日本臨床化学会で、全国的に最適な方法(IFCC法)に統一するような動きがあったため。
2021年10月 バンコマイシンの外注から院内検査へ変更 TDMにより、早期に至適濃度へ調整し、安全に使用するため、ICT委員会より、院内検査を依頼された。

輸血班

輸血班は貧血・出血・手術などで血液製剤(RBC,PC,FFP)が必要な患者さんへ、安全に適正な血液製剤を診療科へ供給する部門です。
・RBC(赤血球製剤):赤血球を補充します。
・PC (血小板製剤):血小板を補充します。
・FFP(血漿製剤):出血を止めるはたらきのある凝固因子を補充します。

輸血検査機器 ORTHO VISION

検査項目 血液型検査・不規則抗体検査・交差適合試験(クロスマッチ)

血液型検査

ABO式血液型を迅速に検査します。

不規則抗体検査

輸血や妊娠などで産生された抗体を輸血前に調べる検査です。

交差適合試験(クロスマッチ)

患者さんの血液と輸血製剤の適合性を確認する最終検査です。

自己血管理(クロスマッチ)

患者さんの血液を事前に採血し、手術の時に使用できるように保管・管理を行っています。

用手法検査

不規則抗体を持っている方、特殊な血液型の方は詳細を精査するために 技師が検査を行います。

緊急血液製剤管理

当院は、血液製剤を配備する日赤血液センター(長崎市)から地理的に遠隔にあるため、緊急に血液製剤の輸血が必要となった時、当院に届くまで2時間もかかります。
したがって、緊急時に備えて製剤を買い置きしています。血液製剤は有効期限が短期間であり、廃棄につながりやすいため、最低限十分な量を備えています。
また、地域のほかの医療機関へ提供できる体制も整えています。

当院在庫数

細菌部門

細菌検査室では、喀痰や尿・便・様々な体液などに生息する菌を、専用寒天培地で発育させ、体に悪さをしている原因菌を調べます。
さらに、特定した菌にどのような薬(抗菌薬)が効果があるのかを調べます。
また、ICT(感染制御チーム)の一員として、薬剤耐性菌の検出状況、血液培養の提出状況等の感染対策に必要な情報を提供し、院内の感染対策にも関わっています。

一般細菌検査

塗抹検査

検体をスライドガラスに塗布し、火炎固定(ガスバーナーで炙る)後にグラム染色を実施します。
顕微鏡で観察された菌の報告を行っています。

培養検査

様々な培地を用いて、菌を発育させる検査です。

同定・薬剤感受性検査

培養検査により発育した菌を使用して同定・薬剤感受性を行います。
同定検査は検出された菌の名前を決定し,薬剤感受性検査はどの薬に効果があるのかを調べます。

抗酸菌検査

塗抹検査

検体をスライドガラスに塗布し、火炎固定後にチール・ネールゼン染色を実施します。
顕微鏡で観察された抗酸菌の報告を行っています。

記載法 Z-N ガフキー号数
0/300視野 G0
± 1~2/300視野 G1
1+ 1~9/100視野 G2
2+ ≧10/100視野 G5
3+ ≧10/1視野 G9

培養検査

固形培地を用いて、抗酸菌を発育させる検査です。
一般細菌と異なり、抗酸菌は発育に時間を要します。(平均1カ月程度)

迅速抗原検査

検体材料から直接原因微生物の有無を判定することができます。短時間で結果報告が可能です。

・肺炎球菌  ・レジオネラ  ・A群溶連菌     ・咽頭アデノウィルス  ・便アデノウィルス ・便へリコバクターピロリ菌   ・ロタウィルス ・RSウィルス ・ヒトメタニューモウィルス  ・CDチェック ・ノロウィルス ・水痘・帯状疱疹ウィルス ・インフルエンザウィルス・マイコプラズマ

遺伝子検査

当院では全自動遺伝子解析装置を導入しており、PCR法が実施可能です。検体から抽出精製された核酸を増幅させ、キャピラリー電気泳動によって増幅産物を分離して測定しています。
・結核菌 ,非結核性抗酸菌(MAC) ※平日は翌日に結果報告できます。
・新型コロナウィルス(SARS-CoV2) ※原則2時間後に結果を報告できます。

検査機材

・BD Phoenix M50 (同定感受性検査)

・BACTEC9050 2台 (血液培養)

・uTAS Wako g1 全自動遺伝子解析装置 PCR法
【結核菌(M. tuberculosis),非結核性抗酸菌(M. avium,M. intracellulare),新型コロナウィルス(SARS-CoV2)】

 

生理検査部門

検査技師が患者さんを直接検査する生体検査をまとめて、生理検査といいます。正確な検査結果を迅速に提供するよう努めると共に、他部署と協力しながら患者さんの検査に対する不安や負担を少なくするよう努めています。

心電図検査(安静時・運動負荷・トレッドミル・エルゴメーター)

心臓の動きを電気的な波形として記録し、不整脈や心筋梗塞などを調べます。
所要時間:5分(安静時)
15分~1時間(運動負荷)

ホルター心電図

一日の長い時間にわたる日常の心電図異常を発見するための検査です。胸に心電図の電極シール、腹部に小型の記録機器を装着し、心電図を24時間記録します。
不整脈の診断や動機・失神・めまい・息切れ・胸痛などの原因検索に用います。
取り付け:15分
取り外し:5分
計測時間:24時間
また、一週間と長期間の心電図を記録する専用の装置もあり、こちらは外部へ解析を委託しています。

超音波検査(心臓・頸動脈・下肢血管・腎動脈・乳腺・甲状腺・腹部など)

・Vivid E90 ・ARIETTA S70

超音波を使って体内の状態を映像として観察し、病気の有無や臓器の状態などを調べる検査です。
所要時間:20~45分

肺機能検査(肺活量,努力性肺活量,機能的残気量,肺拡散能力)

息を大きく吸ったり吐いたりして肺の大きさや、息を吐く勢い、酸素を取り込む能力を調べます。
所要時間:15~60分

呼気NO検査

喘息などの好酸球が関係する気道炎症のバイオマーカーとして、呼気中に含まれる一酸化窒素の濃度を手軽に測定します。一定の呼気流量で10秒間機械に息を吹き込み、検査します。
所要時間:10分

脳波検査

頭全体に約20個の丸い電極をクリームで貼り付けて、脳から出る微弱電位を記録します。機械から電気は流しませんので無痛です。
記録した波形から、けいれん・意識障害・てんかん・脳腫瘍などの精査を行います。
所要時間:60分

神経伝導検査

皮膚から電気で神経を刺激して現れた波形で刺激が伝わる速度と時間などを算出し、手足のしびれや疼痛などの原因を調べます。 ※神経を電気で刺激するため痛みを伴います。
所要時間:20~60分

血圧脈波(ABI,CAVI)検査

両腕と両足の血圧脈波を同時に測定することによって、動脈硬化による血管の狭窄や閉塞を調べる検査です。
所要時間:10分

皮膚再灌流圧(SRPP)検査

毛細血管や細動脈レベルの血流を評価できて、下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)や重症下肢虚血(CLI)の血管治療や経過観察に有用です。ベッドに仰向けに寝ていただき、測定部位に血流を測定するレーザーセンサーを貼り,圧迫帯(カフ)を巻いて圧をかけ、一旦血流を遮断します。徐々に圧を抜き、血流が再び戻った際の圧が測定値となります。
所要時間:20~40分

心臓カテーテル検査のモニタリング・介助

心臓カテーテル検査の心電図モニタリングや血管内のエコー検査などを介助しています。

 

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