「医療被曝 Q&A ガイドブック」
編集:長崎県職員放射線技師会
作成:小冊子初 版 平成 9年 4月
小冊子第2版 平成13年10月
HP用再編集:平成16年 3月
皆様からの医療放射線被曝に対する疑問を解消するために、長崎県職員放射線技師会では、左図の医療被曝Q&Aガイドブックを作成しました。
当コーナーでは、これに病院の情報を加え、医療被ばくの疑問にお答えします。
Q1.放射線とはどんなものですか?
A1.放射線は、目に見えず、触れられず、人間の五感では感じる事の出来ない、物を通過する能力を持った光の仲間です。放射線の種類には、X(エックス)線、γ(ガンマ)線、α(アルファ)線、β(ベータ)線、電子線、陽子線、中性子線等があります。
Q2.レントゲンと X(エックス)線は違うのですか?
A2.一般に同じ意味で用いられますが、正式名称はX(エックス)線です。
X(エックス)線という名称は、1895年に発見したWilhelm.Conrad.Rontogen(ウィルヘルム・コンラッド・レントゲン)博士が、未知なる放射線という意味で「X(エックス)線」と命名したことに由来します。
なお、レントゲンという名称は、X(エックス)線を発見した博士の功績を称えた人々が、レントゲン線と呼び親しんだためです。故に、X(エックス)線撮影よりレントゲン撮影の方がなじみ深いという方も多いのではないでしょうか。
Q3.放射線と放射能は違うのですか?
A3.放射線と放射能は異なります。
放射能とは、「ある物質が放射線を出す能力」のことで
放射線とは、物を通過する能力を持った光(エックス線等)の名称を指します。(*詳細はQ1参照)
例えば、「放射能」を光っている電球に例えると下記のような関係になります。
放射線=光,放射性物質=電球,放射能=W(ワット)数
Q4.放射線の単位について教えて下さい。
A4.放射線に関する代表的な単位には、下記のようなものがあります。
吸収線量 Gy(グレイ):ある物質が吸収した放射線のエネルギー量を表す単位。
線量当量 Sv(シーベルト):人間が被曝した放射線量を表す単位。
放射能 Bq(ベクレル):ある物質が、放射線を出す能力の単位。
Q5.日常生活の中に放射線は存在しますか?
A5.存在します。例えば下記のようなものがあり、これらを自然放射線と言います。
・地球の外からやってくる宇宙線
・建物の材料や大地から放出される放射線
・水や食物、人体から出る放射線
☆自然放射線による被曝線量は、1年間に約2.4mSvです。(1988年国連科学委員会 推測値)
☆一般的な病院・等での胸部エックス線検査による被曝線量は、 1撮影で約0.4mSvです。(IAEA BSS 1994/4)
参考:「成田-ニューヨーク」間を往復する国際線ジェット機乗務員の被曝線量は、1年間に 約2.8~3.2mSvです。これは、高度が高くなるにつれ、宇宙線による被曝線量が増えるためです。
Q6.放射線を使用する検査にはどのようなものがありますか?
A6.放射線を使用する検査には、胸部X(エックス)線検査・胃腸透視検査・CT検査・RI(ラジオアイソトープ)検査等があります。検査の詳しい内容については、HPの各検査説明をご覧ください。
Q7.CT検査と胸部X(エックス)線検査ではどちらが放射線による被曝線量は多いのですか?
A7.一般に、CT検査の方が放射線に被曝する線量は多くなります。
CT検査では、人体の断面像(輪切り像)を得られる等、精密な診断が可能ですが、その反面、CT検査による被曝は、(目的や装置によって異なりますが)胸部X(エックス)線検査の数十倍以上になります。